花一匁
くだらない時間を過ごしたくないので、と街を歩き回る。
見たい映画がない。
その時その時でやりたいことをやるのが吉です、という文言だけが、俺のおみくじには大凶から大吉までもれなく書かれている。
要するにその日暮らしになるが、その日暮らしの計画性というものもある。
というか、いろいろと考えるだけ無駄な脳みそだ。
なんて卑下するほどでもない。きっと灰色。
いやピンク色。
そういえば加藤シゲアキの『ピンクとグレー』という小説があったな、あれそういう意味なんかな(いや違うだろ)と思いながら、街を徘徊しているオレを文字の上で睥睨。
自分を高いところから見下ろすのはたいそう気分がいいだろう?
──そうでもないのだ。
早く仕事なんて終わらせて……やりたいことがない。
だから私は仕事を受けてしまう。
こうやって人と人とが手を取り合って……というと聞こえが良すぎるな、手を引っ張って、相手を誘導して、またそいつも誰かに引っ張られて、その勢いで回る偽物の永久機関がグローバル社会なので、俺はせめてその中で疲れる生きるためにと腕立てスクワットに勤め、体幹を鍛えなければならないのだが、実態と言えば、話からそっと離れて、みんなが引いたり惹かれたり、牽いたり弾かれたりするのを体育座りで眺めているのだ。
かって、うれしいはないちもんめ。