裸で独りぼっち

マジの日記

トランプのジャック

マジで今月映画観てないな。

空想の世界と俺の距離は容易に遠ざかり、胃袋は重く、現実には慣れ切っていく。

家族のもとに送ったイチゴは箱の中でぶつかって一部傷んでいたらしい。

このやり方で行けるとフルーツ屋からは聞いていたのだが、そううまくはいかないようだ。

人手を介して遠方まで2日で荷物を届けることができるこのロジスティクスのあり方には感服するほかないが、潰れたイチゴは許してくれない。

俺は寒い雨の4月15日を傘をさしたままとぼとぼ歩き、ミスタードーナツおかわり自由のホットコーヒーを経年劣化した内臓に流し込む。

五臓六腑が温まり、肩の荷が卸される。

 

家に帰ってからはデパートで購入したチキンと西友で買った野菜を煮込んだミネストローネ、賞味期限前で安くなっていたクルミロールパン、みかんの缶詰などを食べる。

嫁はんは20代最後の夜を過ごす。

ビールを飲んで、ジントニックを作って、明日を迎えんとす。

「実は『相席食堂』が好きなんだ」

嫁藩の突然の秘密の暴露にくすくすと笑って、俺、風呂を沸かす。

ダウナーな話題には耳を取り合わない。

それは、共感能力があるからではなく、その反対だ。

トランプのジャックは上下対象のようでいて、そうではない。