20201008_ヤギより上、猿より下
家でしか進められねーな―と思っていた仕事を外で全部進めた。
結局、場所やツールは問題ではないのだ。
情熱が重要である。
情熱というか、「かられる内側のやつ」が。
「あーいやだいやだ」と思っていてもかまわない。
内側の奴がエンジンである。それは従来のイメージ通りに熱いわけではなく、高速で巡る水流が動力源のこともあるし、沈むこむような圧力、位置エネルギーがトリガーという場合もある。
とにかくそれでタービンを回していればそれでよい。
燃える炎は常にぬくいわけではないのだ。
平山夢明の短編集『ヤギより上、猿より下』を読んだ。
『デブを捨てに』よりバリエーションがある気がする。平山味はあるいはこちらの短編集の方が薄いかもしれないが、その分角度が多様な気がした。解説がときわ書房の店員というのもいい。 意外と登場人物なりのハッピーエンドがあって読後感がいいのが俺好みなのかもしれない(『パンちゃんのサンダル』のラストの一文は「めでたしめでたし」だし『表題作』のそれは「はあと」なのだ)。『デブを捨てに』で多めだった切なさエンドは『陽気な蠅~』だけだった。やっぱりほぼギャグ小説な『ヤギより上~』が気に入った。だんだんポポロがかわいくなる。
https://bookmeter.com/books/14022239
ギャグ・エロ・グロのなかにどれだけ実感のある喜怒哀楽を再現できるかが平山作品を文学として成り立たせる基盤であるように思う。
その点、やっぱり表題作は良かったな。
クソ汚い話だが、最後は『男はつらいよ』を見た後のようない~い感じの視聴後感があるのだ。
ギャグみたいなウソなんだけど。
木偶のような現実よりもずっとましである。
と、韻を踏みたかっただけで現実と乖離した、中身のないことを言ってみる。
ああ、たのしい。
嫁はんは眠い眠いと言っていた。
寒くて眠気を誘われるのだ。
秋眠、宵口を晦ますだね。