映画『Blue』ネタバレ感想
映画『blue』をNetflixで見た。
2時間弱ではじめの一歩全部入れという感じで、タイトル戦から才能はないけどとにかくボクシングは好きな人から、その人の嫉妬から、ボクササイズ目的で始めた素人がボクシングの楽しみに目覚めて「ボクサー」となるくだりから、拳が人を傷つける恐ろしさから、パンチドランカーから、壊れてもリングに立ってしまう業から、恋から、全部入れている。億もここまで詰め込んだなという感じで、逆に若干色々そろい過ぎてお子様ランチ間を感じないでもないが、でも、これおいしいお子様ランチだよ。
監督に30年の経験がある確かさから、確かにボクシングシーンはリアルで、フットワークがめちゃくちゃ重要なんだな、ボクシングは足を見るスポーツなんだな、というのがよくわかる。ただ、医療についてはよくわからない。あんな症状が出てたらもっとしっかり医者も止めないといかんのではないか。
勝つべくして勝つ試合か、負けるべくして負ける試合ばかりだが、楢崎の終盤の復讐戦だけ、ちょっと漫画的なカタルシスを作りにかかる。まあ、結果は苦いものなのだが、あそこでいったん明らかに後半強くなるというファンタジーをやったのだからそのまま突き抜けるか、もっと苦く試合自体も描くかで良いのではないかと思った。
柄本時生の身体がだんだんボクサーになるのは確かに説得力があった。
映画トゥデイのインタビュー動画も見た。
こんなコメント放置しとくなよ、映画トゥデイ。
吉田監督はしゃべり方とか映画は所詮商品ですからっていう割り切りの態度とかも勝手ながら俺のスタイル的なものと被る部分がある気がして、やはり好きだという思いを強めた。
そういえばヒロインの木村文乃にSEX誘ったら生理だったみたいなシーンがあったのだが、ヒメアノールのレイプしようとしたら生理だったシーンといい、これもう監督の趣味じゃねえかと疑わしく思ってしまう。
まあ、そういうリアルさでざらりとしたリアル感を加えたいという意図かもしれないし、単に普通に性的シーンを描くことへの照れかもしれない。
ボクシングの事をわかっていないキャラとしてヒロインを配置したとのことだが、そこまでわかってないキャラという感じもしなかった。「カムバックしないでよ」とか言うてたし。
どっちかといえば「男の世界」をわかってない女性としての配置だったんだろうなと思う。それはあしたのジョーからの伝統芸として。
負け続ける男の世界。
まあ、今の時代コレクトネスではないし、俺もそういうのからけつまくって生きてるので推進する気もさらさらないんだが、そこにある美学は確実にあって、それはフィクションの中ではやっぱりひたすらに美しいのだ。